「よし。それじゃあ……」

 俺はパン、と手を叩いて皆の意識を注目させた。

「軽く体を動かしてからちょっと皆の実力を見てみようか。…………と、その前に晶ちゃん」
「あ、ハイハ〜イ。えっとですね、僭越ながらこの瀬尾晶が今回の劇であるかぐや姫の演出を担当することになりました、
 どうかよろしくお願いしますっ!」

 一息でそう言い終えると晶ちゃんは勢いよく頭を下げてあわや転びそうになる。そんな中ちらほらと拍手が送られた。
 この話はココに来る前に晶ちゃんが自ら志願してきたのだ。何でも晶ちゃんは何かの創作活動をしているようで、
 演出の似たような事ならできるとの事で俺がお願いした、という流れだ。

「そんな訳で今後は晶ちゃんが中心となって稽古する事になるんだけど、皆賛成してくれるかな?」

 ざっと皆の反応を見てみる。頷く面々こそいるが反対するような者はいない。俺は密かに安堵のため息をついた。

「それでですね、みなさん気になっている配役決めなんですが、これからやるエチュード……あ、簡単にいうと
 即興のお芝居なんですが、それを何人かのグループになってやってもらいます。それを見てから皆さんに誰がどの役を
 やって欲しいか投票してもらいます」
「投票って……瀬尾、そういうのは演出家のあなたが決めるんじゃないの?」

 晶ちゃんの提案が意外だったのか、秋葉が質問してきた。

「文化祭なんですしみんなで決めるのがいいと思うんです。私は意見が衝突した時とかにまとめる雑用係みたいに
 思ってくれればいいです。基本はみんなで、です。さすがに演出なんで多少の劇の注文くらいはしますが」
「そう……分かったわ」

 と、秋葉は神妙に頷いて納得して退いた。

「それじゃあそうですね……三つくらいのグループになってくれますか? グループのメンバーは自由で構いません」

「ねぇねぇ翡翠ちゃん、一緒にやらない?」
「はい。姉さんが暴走しないように見張らないといけませんからね」
「シエル先輩、俺と一緒にやりませんか?」
「乾君ですか…………えぇ、いいですよ」
「先輩、その間は何ですか?」

 各々声をかけてかけられてグループが形成されていく。

「何かいちいち面倒ねー。レン、とりあえず一緒にやろっか?」
「…………(コク)」
「ねぇシオン、一緒にそのエチュードっていうのやらない?」
「えぇ喜んで。さつき、よければ秋葉も誘って構いませんか?」
「うん。全然オッケーだよ」
「……まぁこのままだとあぶれてしまいますからね」

 そんなこんなでそろそろ俺もどこかに入らなければならない。正直わざわざ自分の無様な姿を見せるのどうかと思うがしょうがない。
 さっさと決めてしまおう。俺は……

 1.翡翠と琥珀さんに声をかける

 2.有彦とシエル先輩に声をかける

 3.アルクェイドとレンに声をかける

 4.秋葉達のグループに声をかける



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