「な………………」

 俺は何もかもの予想を裏切って現れた『三人』の姿を見て驚愕する。
 まず「こういう事もあろうかと……」と言って呼んできたのだから普通一人だけ来るのだと思うだろう。
 それがどうだ、ドアに立っているのはどう数えても三人の姿がある。

 まず一人。いつものように鮮やかで腰以上に伸ばされた紫の髪を結い上げてどこか場違いだという表情を見せている彼女、
 シオン・エルトナム・アトラシア。俺達に見られてるのが恥ずかしそうのか、両手につけられたエーテライトをカチャカチャと弄んでいる。
 シオンの後ろに隠れるように俺をまっすぐ見つめてくる真っ黒な服に身を包んだ小さな影はレン。
 そして最後は秋葉と同じ制服を着た、ハキハキと元気な笑顔を見せている晶ちゃんが立っていた。

「こんにちは、志貴」

「シオン、どうして……」

「秋葉に頼まれたのです。聞けばさつきも参加するようなので私も微力ながら力添えをしようと思ったのです」

「そっか……で、レンはどうしてここに?」

「………………」

 相変わらず俺の目を見つめるだけで何も話してくれない。と、秋葉が

「朝食の時に私と兄さんが話をしていたのを聞いてついてきたんです。私が呼んだのはシオンだけです」

「え…………じゃあ晶ちゃんは」

「はい! あの、お兄さんが劇に出るという事を先輩から聞いて私も何かできないかなと思いましてっ!!」

 元気に頬をわずかに染めて応えてくれる晶ちゃん。なんだかとても嬉しそうだ。

「えっと、とにかく…………三人とも今回の演劇に参加するって事でいいのかな?」

「構いません」「ハイッ!」「(コク)」

 三者三様の返事を聞いて俺は心の中で密かに感謝をした。

「よし、じゃあ放課後から早速活動を始めようか」

 俺の言葉で昼休みの会議は終わり、各々の教室やらに戻った。
 にしても今から浅上に戻って放課後にまたココに戻ってくるのだろうか、あの二人は。疑問である。




 そうして時間は飛んで放課後へ。机や椅子を廊下に出してすっきりした教室には今まで誘ったメンバーがずらりと並んでいた。
 さて、まずやらなければならない事は…………。

 1.配役を決めないと始まらない。皆で相談しよう

 2.まず皆の演技を見てから配役を決めよう。まずは小手調べから

 3.とりあえず顔見せだけでいいかな? 今日は適当に自己紹介をして解散しよう



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