「ハイ、それでは次はバラエティーいきましょう、バラエティー」
「だぁかぁらぁ! 何でそんなに扱いがぞんざいなのよ!」

 おぉ、アルクェイドが怒ってる。いや、本気で怒ってるわけじゃないと思うが晶ちゃんが悪いのも確かだ。

「でも確かに色々いるわよね、翡翠ちゃん」
「ハイ。双子に幼女に外人ですからね」
「………………」

 何かレンが不機嫌な顔してるんだけどなぁ……「幼女」っていう単語が気に入らなかったのかな?

「それだったら妹の所だって色々いるじゃないー! さっちんに妹にエルトナムでしょー! みんな吸血種じゃない!」
「それはバラエティーじゃないと思うよ、アルクェイド」
「う…………」

 俺のツッコミでようやくアルクェイドの猛抗議が止まる。代わりに、辺り構わず「むーっ」とか言いながら睨んでいた。

「とにかく! こんなの早く終わらせればいいんでしょ!? さっさとやるわよ」
「そうですね。次のチームもあることですしサクサクいきますかー」

 そう言って元気よく教壇の前に歩んでいく二人に対して、

「エ、エチュードを、開始で、す」

 もう見てるのもかわいそうな位ガチガチに緊張している翡翠と、

「……………………?」

 とりあえず翡翠の後ろについていってるレンを見て俺はそこはかとなく心中が不安の色に染め上げられていった。
 本当に大丈夫かなぁ、あの二人。頼みの綱はアルクェイドと琥珀さんか。

「ハイ、それでは四人とも舞台に立ちましたね? ではお題は『女優たちの楽屋風景』でお願いします!」
「あ、それ私知ってるー! 化粧ってやつしながら、女の人がどす黒い話をするやつでしょ? テレビとかで見たことあるー!」

 いや、それは結構な偏見だと思うよ。

「どす黒い……」
「………………(どす黒い)」
「どす黒いといえば…………」

 自然と該当者を除く他十名がとある人に視線を注ぐ。しかし当の本人は、

「あはー? どうしたんですか皆さん? あたしの顔に何かついてますか?」

 いつもの和服姿で照れ笑いする琥珀さん。いや、もうこの人のことだから分かっててやってるな。

「じゃあお題も決まったんでさっきと同様五分を目指して演ってみてください。それではスタート!」

 と、始まった途端、教壇から爆発音が。同時に白煙がもうもうと立ち込み、あっという間に視界が白の世界に遮られた。

「うわっ何だこれ!」
「窓! 窓開けて!」
「もう既に開けています、さつき」
「段々晴れてきましたね」

 少しずつ煙が外に追い出されていき、うっすらと舞台に立つ四人の影が見えてきた。
 ん…………? 何だかその内の一人がさっきと違うような気が…………。
 そうして、俺が目にしたものは、

 花.「ね、猫アルク!?」

 鳥.「し、白レン!?」

 風.「あ、アンバー!?」

 月.「せ、洗脳探偵!?」



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