「引き篭もり少年の下に担任の先生が家庭訪問! でお願いします」
「お題長っ!!」
「誰がどの役をやるのかも自由ですよー。早い者勝ちです、それじゃあハイ、スタート!」

 いつの間に持っていたのか、ストップウォッチのボタンを押す。
 俺があたふたとどうするか迷っているとシエル先輩と目が合った。と、シエル先輩の表情が突然神妙になり、

「……あのぉ、お父さん。それでタカシ君はどこにいるんでしょうか?」
「はい?」

 タカシ? そんな知り合いいただろうか。それ以前に「お父さん」って…………。

「もう三ヶ月も学校に来なくなってしまって……私、教師失格です」

 そうして眼鏡を取ってこぼれる涙を手でこする。
 …………あ、そうか、そういう事か。シエル先輩が先生役で俺が引き篭もりの親っていう設定か。
 ん? じゃあ引き篭もりの少年は…………、

「んだよ! 俺は誰にも会わねーぞ、親父!!」
「崇君!! お願いだから先生と話をしてちょうだい!!」
「な…………知恵留先生かよ。帰ってくれよ! 俺は先生とだけは死んでも話したくねぇ!」

 あ、シエル先輩は名前同じなんだ。妙に違う気もしたけど気にしない気にしない。

「なあ崇、入っていいか?」

 俺も何とか役になりきろうと年を食った感じの声で見えないドアの向こうにいる崇(である有彦)に話しかける。

「……入れよ」
「ありがとう、崇君」
「けっ」

 パントマイムで知得留先生がドアノブを回して部屋に入る。俺おそるおそるは息子の部屋に入った。
 さて、父親である俺は……


 1.知得留先生に任せる

 2.知得留先生と一緒に説得する

 3.崇を殴る



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